初心者のための保険 比較ガイド
将来がやがて現在になった時に、かくありたいと願い、そうなるように現在の行動をするのです。
そのために現在、ある意思決定をし、ある行動をとるのです。
そこで現在の意思決定や行動を規定する期間にわたって長計を作るということになります。
かつては長期経営計画が数字中心だった時代もあります。
実行予算である年度経営計画を延長した形で、向こう五年間の詳細な売上や原価を積み上げ、利益計算というスタイルの長計でした。
その時の年計との違いは、企業骨格としての設備増設があるという点でした。
一方的に経済が拡大し、事業分野も変化を要さず拡大させるだけでよかった時代の長期経営計画です。
ところが現在の長計は、それではダメになりました。
経済だけではなく、社会、文化、政治といったもろもろの基盤が、グローバルに大変動を起こし始めたからです。
二十一世紀に向けてパラダイムーシフトが生じ始めています。
だからこそ、戦略経営の重要性が叫ばれているのです。
すなわち企業は激変する環境変化を予測し、それに対応しながら脅威を回避しビジネスーチャンスを生かして生存できるように、保有経営資源を再配置しようとしています。
それには既存事業の将来を見ての問題点は何か、生存し発展するために解決しなければならない課題は何か、解決策はどのような考え方で具体的には何をすればいいのか、資源の再配置を要するのか、要するとすればどこからどこへ再配置するのか、誰が課題解決の担当者かといったことが長期経営計画の中心をなすに至っています。
かつての基盤不変で拡大を前提とした数字中心の長計から、基盤変化への対応策としての課題中心に移行しているということです。
もちろんそうした課題が、意図通り解決された時の企業の姿は、損益計算書や貸借対照表といった会計数値に投影した形で表されます。
特に損益計算書は、企業の第一命題である利益の状況を示すものですから、課題が解決したとしたらどうなるか、その成果を全社的視点で表してくれます。
ある課題の解決策が基本的には正しいとしても、その実行によって成果が発現する前に、特定年度で膨大な赤字が見込まれるというのでは、現実問題として実行できません。
各課題解決策のフィージビリティは、総合した形での損益計算書に投影してみるのが一番よいのです。
以上まとめてみると、練りに練った企業戦略の結集が長期経営計画であるということです。
ここに練りに練るということが大事です。
数字を積み上げるのでなく、環境予測にしても柔軟な頭と広い視野でとらえること、従前の社内の価値基準まで否定して課題や方策を創造すること、権威主義を脱して自由な討議を重ねること、反対意見にも虚心坦懐に耳を傾け、徹底的な議論をすること、こうした努力こそ長期経営計画そのものです。
本気でこうした努力をした企業だけが、二十一世紀に発展できるのだと思います。
一般に長計はローリング≒フランといって毎年見直しをします。
もちろん不確実な未来への挑戦が長計ですから必要なことですが、戦略検討不十分のために、ころころ変更するのは本来的なあり方ではありません。
短期経営計画の立て方は、長期経営計画とどのように違うのですか。
短期経営計画は向こう一年間の計画で、現実に実行することになる計画です。
長期経営計画も、もちろん実行が前提ですが、時として状況の変化があり変更を余儀なくされることもあります。
それに対し短期経営計画は、それに基づいて実行に移していきます。
長期経営計画と短期経営計画の関係は、前者の初年度が後者です。
前項で述べたように長期計画は勝れて戦略的であり、したがって数値的には余り細かいことは問題にしません。
しかし、長期にわたる経営戦略の実行は、各年ごとに編成される短期計画によって実現されるのですから、基本的には1計の初年度が短計だということです。
長計は長期視野に立つが、短計は当面のことに重点を置いてとか、長計は構造変化を問題にするが短計は構造は不変としてとか、いうことではありません。
短計は直ちに実行する計画であり、その積み重ねによって長計で示された戦略が展開されるということです。
短期経営計画は、その中に長計で示された戦略的課題をとりこみながらも、当面の企業環境をふまえて向こう一年間の目標利益実現に向けて編成されます。
具体的な編成方法は、各企業ごとに異なっています。
いかなる方式によるかは、まさに経営力そのものの表現であるともいえるものです。
ここでは一般的と思える方式を示すことにしましょう。
まず経営方針が示されます。
これは長期経営戦略の展開として全社的な重要課題、初年度の目標水準、それを達成するための基本的考え方と進め方について示します。
目標水準は売上高や利益、さらには設備投資といった基本数値によって示します。
これらはトップダウンで示します。
これによって各部門は、年度計画を編成するフレームワークを与えられるわけです。
したがって事業部制をしいている会社であれば、各事業部別に目標が示され、機能別組織であれば各機能部門別に示されます。
各部門は、これを受けて自部門の方針を作ります。
トップダウンで示されたものがあるから、あえて自部門の方針を考えなくてよいように思えますが、そうではなく、より実情に合致し、全社の方針を消化して自ら作ることに意義があります。
やらされるのでなく自らやるということです。
方針は単なるお題目でなく、具体化の指針です。
方針を出す側も受ける側もそのことをよく考え、実際行動に入った時その実現が期待できるものでなければなりません。
さて、こうした手続きの後、販売予測、販売計画、在庫計画、生産計画、設備投資計画、要員計画、予算編成、財務計画などの諸計画が作られます。
実際の作成担当者は会社によって違いますが、より管理水準の高い会社ほど組織の末端まで巻きこんで作られます。
それだけ計画編成能力が末端まで浸透しているということですし、自己コントロールが出来ることでもあります。
上から与えられるものより、自ら作ったものの方が内容や重要性もよく理解され、実施過程でよく守られることになります。
編成される計画を別の角度から眺めると、業務計画と予算から成っています。
業務計画は、誰が、何のために、何を、いつまでに、どのようにするかといった行動計画です。
予算は行動計画を実施に移すための資源配分です。
簡単に言えば、いくらのカネを使って、何をやるかということです。
スーユニョト、プロジェクトチームなど会社によって予め決められた部署です。
業務計画と予算は表裏一体をなすものですから、連動した形で作るのが大事です。
業務計画と予算が別の部署で作成されたり、遊離していたのでは意味をなしません。
業務計画と予算については、アメリカ国防総省で開発されたPPBS(プランニング≒フログラミングーバゼッティングーシステム)とか、ゼロペース予算といった手法が参考になります。
かくして調整を経た後、最終的には計画損益計算書、計画貸借対照表、計画資金収支計算書にまとめられます。
集計や調整は、スタッフである予算担当部署が行います。
管理や評価は、計画値と実際値の比較で行います。
計画を立て、実績をとらえ、差異分析を行ってコントロール用情報を提供し、目標値実現に向けて努力していく一連の会計活動を業績管理会計といいます。
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